着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

男物 事例8

小千谷縮の男着物


布巾が広い広幅の小千谷縮で男物の単衣着物を仕立てました。夏に浴衣を着ている男性が増えましたがこの小千谷縮も夏物の着物の代名詞です。汗をかいても肌にはべと付かず、風通しの良い麻織物の生地、日本の風土に適しています。夏はこの真っ白な色が周りの人も涼しげに見せてくれます。この白さは小千谷縮を作る際に雪にさらす事によって出る白さです。文様は経緯の絣糸で織り出した基本形の文様です。今回の着物は乱れ絣(文様を意識せずに文織り出す事)です。仕立ては襟が棒襟(襟が1寸5分の通し)で揚げ無しの対丈で左右両袖は振りがありません。この生地は麻織物なので独特の風合いの為、着物を縫う時に真っ直ぐ縫いにくく、キセも掛け辛く、仕立て上がってからするプレスもしっくりとなり難い仕立て屋泣かせのお着物ですが、日本の素晴らしい織物の逸品です。