着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

羽織り

陣羽織の羽織風仕立て


お客様のご要望です。呉服屋さんで見つけた夏物の付下げの生地です。この気に入った柄を使って、羽織に仕立て欲しいと相談を受けました。その呉服屋さんにも同じように相談したのですが、『羽織には仕立てられない』と断られ、私共の処に持って来られました。
呉服屋さんの言うとおり、この柄を背中と上前に持ってこれないからです。絵羽織にするには、肩下がりが必要なのですがそれが出来ないからです。肩下がりが必要ですがそれが出来ません。裾にある柄を生かすと肩山で羽織丈をカットして、肩下がりを作るという型にすればと考えました。
なので『陣羽織を羽織風に仕立ててはどうですか。』と相談しました。お客様に承諾をしてもらい、付下げ地の裾の柄を羽織の裾まで上げ、肩で縫い割りをしています。普通、羽織は脇にマチを付けますが、柄を生かす為にスリットを入れています。スリット止めには、縮緬の小さな赤い片花結びの紐でアクセントを付けて、付下げの反物を絵羽織風の陣羽織に仕立て上げました。

←前の事例次の事例→