着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

裾引きの仕立て

着物お仕立て事例 - 成人式の振袖を裾引きに


結婚式の披露宴でお召しになられた裾引きの振袖です。
式場でレンタルのお色直しの振袖を借りようといろいろとご覧になられたそうですが、これといって良い裾引きの振袖がありませんでした。成人式に着用した振袖の裾に綿を入れて裾引きの振袖にしようと思い、『仕立て替えてほしい』と注文をいただきました。
生地は綸子の縮緬地に桧垣(檜の薄い板を網代の様に斜めに編んだ垣根)の地模様、染めは赤色に属する緋色(赤色が少し黄みのかかった赤)に友禅染めをほどこしています。文様は八重桜に鳳凰、山桜と波に千鳥です。鳥文様の波に千鳥に金彩加工がふんだんに使われています。京友禅の振袖です。煌びやかで素晴らしい色使いですね。振袖の模様配置は18世紀前期の着物に見られる上半身と下半身で模様を替える様式です。
次に仕立てについてですが、お客様の寸法から割り出しますと生地が足りなくなります。なので仕立て方は裾とオクミに綿を入れる工夫をしてあります。八掛けを3枚分使って重ね比翼にしました。裾を長く出し、オクミ巾を広く出し、採寸して割り出したお客様のサイズに合うように仕立ててあります。オクミ巾の重ね比翼の配色も考えて紫色を振袖地と緑色の比翼に挟み込みました。裾引きの仕立てをする場合、重要なのは綿の量と型紙です。見た目にも優しい、そして豪華な振袖の裾引きが仕立て上がりました。

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