着物の仕立て
『飛ぶ宝石』と称される鳥、カワセミの訪問着の仕立て
『飛ぶ宝石』と称される鳥、カワセミの訪問着を仕立てました。
※美しい着物をまとうとその美しさに着物を大事にいたわろうとする思いが所作などの立ち居振る舞いに表れ、着物姿を優雅により豪華にしてくれます。※
風になびく柳の木、小枝に止まるカワセミ、池のほとりに生える蒲(ガマ)、そして、夏の季語の茄子。日本の夏のひとコマです。
一対のカワセミを主に、友禅染めで表現した涼やかな水辺の光景が伝わってくる訪問着です。
一年を通して、同じ棲み処に留まるカワセミは、春の花々が咲き出す初花の時期から、残暑の夏八月に掛けて夫婦一対で行動します。
『飛ぶ宝石』と呼ばれるほどの、その美しいさまを草木と共に描いた訪問着は、お召しになる方も、この着物を眺める方も、夏の涼を楽しめます。
技法は薄く乾かした糊を小さく砕き、布に蒔き、防染剤として使って染色する『蒔糊(まきのり)』という友禅染めによく見られる方法で描かれています。
今回の訪問着の仕立てで、一番気の使うところは全体の柄合わせです。
なかでも、今回一番こだわったところは、肩山の位置です。
上前、下前と両衿に柄があるので、肩山の位置が重要になります。
肩山が少しズレるだけで、衿の柄が合わなくなります。
せっかく全体の柄が合っていても、衿の柄だけズレるとせっかくの仕立ても台無しになってしまいます。
そのため、肩山の位置を慎重に決めて仕立てる必要があります。
肩山の位置によって、左右の内揚げの量が違う事もありますが、柄合わせ重視で仕立てています。











