着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

仕立て直し

仕立て直し事例 - 片身替わりに仕立て直し


リピーターのお客様のご依頼です。以前、創作仕立てをさせて頂いた時のご本人の紬着物の余り布が少し残っているので、その余り布と(故)お父様の反物の状態で持っている青色地の男物紬アンサンブルの生地でもう1枚、着物を仕立ててほしいとご相談を受けました。
左身頃に左袖とお客様の紬着物を使いました。左袖底は袖丈が足りないので、青色地の紬でパッチワークをほどこしてあります。仕立て直し方の特徴としては、柄合わせを工夫し、模様配置を片身替わりに仕立て直してあります。片身替わりは背縫いを中心に左右、それぞれに違った地色や文様を配した着物のことをいいます。今回は、左側にご本人の紬着物地、右側にお父様の青色地男物紬を配置ました。寸法は普通寸法ですが、少し前巾を広めにしてあります。裏地は紬の無地の八掛けを使用しましたので、八掛けの寸法が短くなってしまいました。(普通は八掛けの寸法は1尺5~6寸ですが、このお着物の八掛け寸法は1尺です)なので、その分、胴裏が長くいります。そして、裾とフキを出さないで毛抜き合わせに仕立てました。
振袖や訪問着を仕立てる教科書通りの仕立てではありませんので、いろいろとそして、ありとあらゆる仕立てを経験してきた応用できる仕立ての技術が必要になります。裁ち合わせ、ヘラ付け、柄付け、と工夫と手間と時間がいる仕立て直しを楽しくさせて頂きました。ご本人の着物もこれで無駄なく全て使いきりました。着物布を2枚でも3枚でも上手にアレンジして大切な着物(タンスに眠っている着物)をいろいろとアレンジしてみるのも楽しいと思います。

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