着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

着物の仕立て

身に纏うパワースポット着物(縞模様のお洒落着)


昨今は行事用の着物の事例が多いですが、今回は本来の着物の扱われ方、普段着(お洒落着)の縞(シマ)模様の着物の仕立て事例です。
手染めの糸、手織りの木綿地、手縫いの仕立て、それぞれの手の優しい温もりが幾重にもなった作品です。商品名は『会津木綿』ですが、この着物を織られた織物作家名を私は分かりません。そして、この木綿地を織りなす思いを織り上がると作家さんは作品名にしてこの世に残すのですが・・・それも私は知りません。ですが、自然の中で、それも背伸びをせず、身近で美しいと思う感覚を表現し製作した着物だと思いました。 会津地方の冬の山深い土地で織られたこの着物。 この着物の白色は山から麓を見下すと田畑一面に積もった真っ白な雪。赤色は暖かく春を呼ぼうとしている太陽。緑色は冬でも葉の色を変えない常緑樹の竹林。生きる力を与えてくれます。そして、紫色は陽の光と雪の光の照り返しが眩(まぶ)しく交錯し、神々しい神威(カムイ)を表現している。と勝手に解釈しています。(笑)

この着物の文様は縞文様といいます。並行する線で描かれた縞文様は、単純ながら多様な変化を見せる文様です。縞と呼び出したのは、江戸 元禄時代、大坂・京都の文化が発展した時代にお洒落着として考案されました。もう少し詳しくいいますと、この縞模様は矢鱈縞(ヤタラジマ)といい、江戸時代末期に女物の縮緬地や木綿地の柄として流行しました。縞糸と地糸との配列や配色が一定ではなく、不規則になっている縞模様です。

仕立てについてですが、Sサイズの寸法、柄合わせは色の流れが赤色と白色(茶←写真写りで茶に見えるところ)の順番に並べた『追っかけ』と言う柄合わせにしています。そして着用時に衿元が開き難い様に衿付けで工夫を加え衿下(オクミサガリ)を調整しております。
お客様のご希望(着易いのでしょうか?)で広めのバチ衿で、衿裾(えりすそ)で二寸三分に仕立てています。(一般的には二寸です。)
自然のパワー 白・赤・緑・紫の縞模様の会津木綿地着物を仕立てました。

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