着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

仕立て直し

着物に咲く花々は枯れません。昭和の振袖を仕立て直しました。


着物に描かれた花達は、時代を超え、いつの世も美しく咲き誇れます。
昭和の熟練した職人たちが、いつまでも美しいままであってほしいとの願いが込められた振袖です。
早春の成人の日に纏う(マトウ)、この振袖はお嬢様の輝く未来を真っ白の地色が眩(マブ)しいほどに表現してくれています。

今回の振袖は、白色の地色、場には雲取り、花の丸文様絞り入り風友禅染め振袖です。
昭和時代の製作。生地は淡い白地に地模様が織り込まれた、着るほどに馴染む特上品の丹後ちりめん。 振袖の裾模様は、花の丸文様が中心で、着物全体の白色地色に墨色で、梅・桜・菊が描かれた総模様になっています。花の丸は草花を円形におさめた文様で、牡丹・藤・菊が文様化された優雅な古典文様です。色合いを抑えた四季の草花と鮮やかな花の丸がポイントに。所々に淡い緑色の絞り入り風の雲取りとのコントラストが目を引きます。ボカシ八掛けの朱赤色が緑色と対称的な色で振袖全体を引き締める差し色になっています。

暖かく、優しい季節感に溢れ、シックで大人しい雰囲気の振袖に仕上がりました。
成人の日だけではなく、何度も着て頂けたなら、仕立てをした者として嬉しく思います。そして、また次の世代にも 『着物として』 仕立て直して受け継がれていく事を切(セツ)に願っています。

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