着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

着物の仕立て

友禅染め作家、こだわりの訪問着の仕立て


控えるからこそ、光る美しさ。静であるが故の品格の姿。日本二千年の時代の流れに刻まれてきた着物。その時々の場面を包み込める格調高い訪問着を仕立てました。
生地は綸子、地色は勿忘草色ワスレナグサイロ。草花の勿忘草の花びらの薄い青色に染まっています。配色を抑えた大人しい印象を与えてくれています。一度、触ってみれば、その軽くて、しなやかな風合いの生地の魅力のハマってしまいます。

この訪問着の上前衽から後ろ裾、左右両袖の前後に熨斗ノシ模様がきもの全体に控えめながら、バランス良く配しています。
熨斗ノシの吉祥文様たる意味は、のしあわびから来ています。貝類の鮑アワビの身を引き伸ばして、お目出度い引き出物を結んだり、包んだりする物に使ったことから、熨斗は縁起の良いものとなりました。延寿を象徴するものとして、現在ではきものや帯に吉祥文様のひとつとして幅広く用いられています。

上前の胸と背中左肩辺りには、唐花カラハナ文様が描かれています。実物の花の形を具形化した丸い形の空想上の花模様をさり気無く配されています。仕立ても、上前衽から前・後身頃へと熨斗模様が流れ、胸、後身頃の肩辺りの唐花模様も良い位置に配してあり、上手く仕立て上がっています。
袖丈は一尺三寸で袖丸みは五分が多くなっています。内揚げと掛け衿にぐしを入れて、袖口と裾はフキを出して仕立てています。
珍しいのは袖の柄です。一般的な柄付けは片袖に柄がある場合は右後袖に、両袖に柄がある場合は賑やかな柄が右後袖に、控えめの柄が左前袖に配します。この訪問着の袖は、両袖の前と後ろに描かれています。

友禅作家のこだわりの珍しい訪問着を仕立てさせて頂きました。

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