着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

着物の仕立て

飾れば絵画のような冬景色の訪問着


風景を題材にした訪問着を仕立てました。
着物は、身に纏う美術品、歩く絵画などと世界から称賛されています。
着物姿は、日本人を最も美しく表し、着物を見る世界中の人々の心を豊かにしてくれます。
今回は、冬景色の訪問着を仕立てました。
日本アルプスのような冬景色を、まずは手描きでデッサンし、そして、型染め、素描き、版画の技法を駆使して製作した着物一面に総模様の訪問着です。両袖、前後ろの身頃の上部の遠くに映る峰々は、白色と墨色の二色を使って表現し、身頃の腰辺りから裾のかけて、麓には、緑色で樹々や急流な川などを表現し、白・墨・緑色で素朴に冬景色を、絵画の様な立体感を出して描いています。
墨色と緑色の濃淡、滲み(ニジミ)、暈し(ボカシ)、翳み(カスミ)など、この色達の美しさを余すところなく引き出すことにより、全体に映り出される白色の独特の孤高な感じが、白色を凛とした清冽な美しさを醸し出しています。
見る者の郷愁を誘うような趣のある逸品だと思います。
今回の仕立てについてですが、日本舞踊をされるお客様です。
ご希望が胴抜き(内揚げより上は胴裏がない)の仕立て方で、裄丈が長め、袖口広く、くりこしを少し多めにと注文の仕立てをさせて頂きました。
注意したところは、裄丈が長いため、抱き巾のところが広くなるので、少し抱き巾を狭くさせて頂きました。

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